今回はROA、ROEについて解説します。企業の成長性を見抜くためにプロも注目する非常に有効な指標となっているのでこの機会に押さえておくと便利かと思います。
ROAとはどんな意味か?
ROA(総資産利益率)とは『会社が資産全体を効率よく使えているかどうかを表す数値』のことです。
ROEの数値が高いほど資産に対して効率よく稼いでいるということを意味しています。
ROEとはどんな意味か?
ROE(自己資本利益率)とは会社が持つ自己資本に対してどれだけ利益を出せているか表す指標です。
ROEの数値が高いほど投資資金に対して効率よく稼いでいるということを意味しています。
ただし、負債(借金)の比率を増やすことでもROEは高くなるので、借金を増やしてROEが高くなっただけという場合に騙されないよう注意しましょう。
ROAとROEの違いは?
- ROAは、『資産全体』を効率よく使えているかどうかを表す指標
- ROEは、『自己資本』を効率よく使えているかどうかを表す指標
つまり、ROAが会社の全ての資産に対しての効率性を見ているのに対して、ROEは、『投資された資金に絞って』効率性を見ているんですね。
そのため、ROAの方が評価の規模が大きく、あてになることが多いです。
ROAの目安・ROEの目安
ROAの目安
一般的にROAの目安としては2%が普通で、5%以上が優良企業と言われています。
数値が高ければ高いほど優良企業で、低ければ低いほど経営の下手な企業といえます。(失礼!)
ROEの目安
一般的にROEの平均は10%程度と言われています。
ただ、ROAもROEも業種によって基準が異なるので業種別でROEが高いかどうかの判断をすることをおすすめします。

上の表は業種別のROEをまとめたものですが、2段目の鉱業、採石業は2017年、2018年ともにROEは5以下が平均となっています。
市場のROE10%を基準にROEが高いか低いかを判断してしまうとほとんど全ての企業がROEの低い『経営の下手な企業』になってしまいます。
こういった事態を避けてROEの良し悪しを正確に判断するためには、きちんと業種の平均である1.4%や3.5%を基準にROEが高いか低いかを判断する必要があります。
これはROAにも言えることなので、ROAを見るときも業種別で見るようにしましょう。
ROA・ROEの計算式
ROAの計算式
ROA=当期純利益÷総資産×100
で計算することができます。
ROEの計算式
ROE=当期純利益÷自己資本×100
またはEPS(1株当たり利益)÷BPS(1株当たり純資産)で求めることができます。
ただしどちらも『企業名+ROA』または『企業名+ROE』で検索をかけると求めることができるので、計算式自体を覚える必要はありません。
ROA・ROEはどれくらい重要?

ROAとROEはどちらも企業の経営手腕を見る上で非常に重要です。
上のグラフは1万円を10年間、ROEの違うA社、B社、C社に投資をした際の資産の増加を表したものです。
A社:ROE30%:約14万円
B社:ROE10%:約2万6千円
C社:ROE5%:約1万6千円
結果としては、ROEが5%しか変わらないB社とC社でも2倍近い差が生まれ、A社とC社に至っては約9倍の差が生まれました。
これだけでもすごいですが、この差とはさらに年数をかけることで大きくなっていくので20年、30年となればもっとすごいことになりそうです。
ROA・ROEは企業の経営手腕、そして成長性を見る上でめちゃくちゃ重要なんですね。
ROA・ROEの使い方
ROAとROEをどう用いていくかですが、ROAとROEを見て企業の本来の実力を見極めることがおすすめです。
ただ、ROAやROEが高い企業というのはそれだけ期待が大きく、既に株価が高くなってしまっている場合が多いです。
また、期待で株価が高騰している状態なので、実際に期待に応じた成長をすることができなければ投資をした後に一気に株価が暴落するという危険性もあります。
これらの現実的なデメリットをカバーした上でROA・ROEをうまく用いた投資ができればいいわけですが、バリュー投資の際に企業に実力があるか見極める判断材料にするといいのではないかと思います。
バリュー投資についてわからないという方は以前解説していますので興味のある方は確認してみてください。
ROA・ROEが高く割安に放置されている株は、業績の回復・株価の回復ともに見込めそうですね。
ROA・ROEを見るポイント
ROAを見るときはただ数値を見るだけでなく、以下の2点を意識するといいと思います。
- 同業他社と数値を比較する
- 最低でも3年以上の推移を確認する
同業他社と数値を比較する
これは先ほどもお伝えしましたが、いろいろな業種があり、業種によって目安が異なるので同じ業種の他社と比較して、業種の中で数値がいいのか悪いのか見ることが大切です。
3年以上の推移を確認する

ROA・ROEを見る際には3年以上の推移を確認するのがポイントです。
例えば、上の表を見ると、2020年のROAはユナイテッドアローズよりもアダストリアの方が2%近く高いですが、3年間の推移を見てみると2018年と2019年のROAはユナイテッドアローズの方が高いです。
このように数年の推移で見ると今年のROA・ROEに対する見方が大きく変わることがあるので、最低でも過去3年間の推移は確認するようにしましょう。
数値が変動した原因を突き止める
ROA・ROEを数年単位で見たときにROA・ROEが大きく変化している時にはなぜそのように変化したのかを突き止める必要があります。
特にROEは最初にお伝えしたように借金(負債)の割合を多くすることでも上がってしまうので表面上の数値に騙されないように注意してください。
ROA・ROEはどこで見れる?
ROA・ROEは『企業名+ROA(またはROE)』で検索すると見ることができます。
ウェブサイトであればヤフーファイナンスが見やすいのでおすすめです。

また、楽天証券のアイスピードであれば、「四季報」の『財務』で確認することができます。とても便利なアプリなのでまだ利用していない方は是非!
アイスピードは楽天証券で口座開設をすると無料で利用できるスマホ用アプリです。
まとめ:ROA・ROEを用いて企業の成長性を見抜こう!
- ROAは会社が持つ総資本に対してどれだけ利益が出せているか表す指標
- ROEは会社が持つ自己資本に対してどれだけ利益を出せているか表す指標
- 目安はROAが2%、ROEは10%、ただし業種によって基準が異なる
- ROA、ROEは少し違うだけで大きな差に繋がる
- 検索すれば誰でも簡単に確認できる
ROA・ROEについて理解が深まったのではないでしょうか?
たくさんの指標がありますが、ROA、ROEはプロの投資家も利用するくらい非常に重要な指標となっているので是非活用していただければと思います。
記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。