配当という用語を一度は聞いたことがありますか?今回は配当利回り、配当性向、増配・減配といった配当に関連する用語をまとめて解説します。
配当とは何か?
配当とは、会社が出資者である株主に対して利益を還元するために分配するお金のことです。
例えばトヨタの株は1株あたり6956円ですが、株を1株持っているだけで配当として1年間で220円の利益を還元してくれます。
配当のメリット
配当のメリットは、何もせずにお金がもらえることです。
配当の一番高いJTという企業の株を100万円分買えば、年間に7.7万円の配当を受け取れます。
100万円は高いという方は10万円でも約8千円の配当がもらえます。
銀行の預金が0.01%くらいなので、その700倍もの利益が得られると考えるとすごいですよね。
配当のデメリット
配当のデメリットは企業の成長を阻害してしまう危険性があることです。
企業は利益から株主に配当金を出します。そして、残ったお金を企業の成長のために用いることが多いです。そのため、配当によって利益のほとんどがなくなってしまうと企業の成長のための資金がなくなってしまいます。その結果競争力が低下したり、財務が悪化する危険性があります。
ですから、配当のメリット、デメリットを踏まえた上で配当の大きい株を買うのか、それとも配当の小さい株を買うのか判断する必要があります。
ではこの配当について軽く理解したところで、配当利回り、増配、減配という言葉について見ていきましょう。
配当利回りとは何か?
配当利回りとは株価に対してもらえる配当金の割合を表す指標です。例えば株価1000円の企業が100円の配当をしたとすると、1000円に対して100円ですから、配当利回りは10%ということになります。
予想配当利回り=予想配当金÷株価で計算することができます。
配当利回りが高ければ高いほど、よりお得に配当金を受け取ることができます。
配当利回りが高い企業としてはJTが有名です。他にも以下のような企業があります。
投資法人について気になったと思いますが、投資法人とは会社型の投資信託のようなものです。

配当利回りの目安
配当利回りの大きい企業で3%後半から4%程度です。
また、配当利回り0%という企業もありますが、これは、配当がないということを意味しています。

配当利回りの注意点
配当利回りが高い企業はそれだけで魅力的に感じてしまいがちですが、配当利回りは、配当金が多くなる場合以外にも、企業の株価が下がることによっても良くなります。
つまり、業績が悪化して株価が暴落した企業が、配当利回りの高い企業の中に潜んでいる可能性があるということです。
そのため、配当利回りの高い企業の株を購入する際には、配当利回りがよくなった原因が株価の下落によるものでないか確認するようにしましょう。
配当性向とは何か?
企業は株主から集めたお金で利益を出し、その一部を株主に配当金として還元します。
その稼いだ利益のうち何%を配当金として株主に還元するのかを表した数値を配当性向と言います。
配当性向の計算方法
配当性向=配当支払総額÷当期純利益×100
または配当性向=1株当たり配当額÷1株当たり当期純利益(EPS)×100
で求めることができます。
配当性向は基本的に検索をかければ見ることができるので計算式を覚える必要はありません。
ちなみに当期純利益というのは最終的に残った企業が自由に使えるお金のことで、一般の家計に例えるなら手取りから生活費などの雑費を引いて残ったお金のことになります。
配当性向の目安
国内の企業の配当性向平均値は約30%程度なので、30%前後であれば平均と考えていいと思います。
配当以外の利益は内部留保になる
配当に充てられなかった利益は内部留保として今後の企業規模の拡大のために回されたり、企業存続のための資金になります。
例えば、当期純利益10億円の企業で配当性向30%の場合10億円のうちの30%つまり3億円が配当金に回されますが、残りの7億円は内部留保として今後の企業規模の拡大のために回されたり、企業存続のための資金になったりするということです。
小規模かつ成長性の高い企業は事業拡大への投資に回した方が株価上昇などのリターンが大きいため、配当性向が小さいことが多いです。
逆に成熟した企業は事業拡大への投資はあまり必要としていないため、その分配当性向が高くなる傾向があります。
配当性向を見るときのポイント
ポイント1:配当性向が高すぎないか

配当性向が高い企業というのは、利益の大半を配当に持っていかれるので、その分内部留保が削られてしまっています。そのため、配当性向の低い企業と比較すると、事業拡大ができなかったり、遅れをとったりするリスクが高いです。
ポイント2:業績が悪化しないか

配当性向が低く、余力のある企業は業績が悪化した場合でも、配当性向を上げられるだけの余力があるので、減配とせずに済む可能性があります。
しかし、同じ配当利回りであっても配当性向が高い企業は業績が悪化した際に、配当性向が既に100%でそれ以上配当金を増やさない場合が多いので必然的に減配となってしまうことがあります。
企業によっては配当性向を100%以上にするところもあります。
配当性向が低い企業であってももちろん減配となる可能性はありますが、そういった場合にも配当性向の高い企業と比較すると立て直すだけの内部留保が確保しやすいので、経営が比較的安定しやすいと思います。
ポイント3:配当性向はどう推移しているか
配当性向を見る際は配当利回りと併せて過去数年間の推移は絶対に見るようにしましょう。
どんどん配当性向が高くなってきている企業はそれ以上の増配の余力が残っていないと判断できますが、逆に配当性向が低くてもどんどん増配をしてきている企業というのはそれだけ余力が残っていて今後も増配を期待することができます。
過去の推移を見て将来的にはどういった配当性向と、配当利回りになるのかという予測を立てて銘柄の選択をすると危険な企業を見抜くことができます。
増配・減配とは何か?
増配とは前回の決算期より配当金を増やすことで、減配とは前回の決算期より配当金を減らすことです。
配当は利益を株主に還元することを目的としているので、利益が増減すると、還元をされる金額にも影響が出ます。
一般に増配が起こるのは、業績が良く利益が大きくなった時で、逆に減配が起きるのは業績が悪く利益が小さくなった時です。
投資家にとって増配は魅力的ですし、一般には業績が上向いている証拠ともいえるため、増配すると株価が上がりやすくなります。同じような理由で逆に、減配は株価が下がりやすくなります。
また、増配には継続的に配当されるものと一時的に配当される記念配当、特別配当があります
記念配当とは会社の創立記念や上場記念として増額されるもので、特別配当とは特別に業績が好調だったときや資産の売却などで特別利益が出た場合に増額されるものです。
特別配当や記念配当は来年以降大きく減ったり、無くなったりする可能性があるので注意が必要です。
まとめ:配当を正しく理解して企業を見極めよう!
- 配当とは、会社が出資者である株主に対して利益を還元するために分配するお金のこと
- 配当は企業の成長を阻害してしまう危険性がある
- 配当利回りとは株価に対してもらえる配当金の割合
- 配当性向とは利益のうち何%を配当に回しているかのこと
- 増配とは前回の決算期より配当金を増やすこと
- 減配とは前回の決算期より配当金を減らすこと
配当について理解が深まったのではないでしょうか?
配当はとても魅力的ですが、配当を目当てに株を買う際にはよく検討をするようにしましょう。
個人的には配当性向30%程度で、配当利回り3%程度の企業がバランスが良くて良いと思います。ぜひ探してみてください。
記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。