今回は『バリュー投資』とは何か?そしてバリュー投資での具体的な銘柄の選び方について解説します。
バリュー投資は初心者の方でもリスクを抑えて実践できるおすすめの投資法となっているのでこの機会に理解にやり方まで理解してもらえればと思います。
バリュー投資とは何か?

バリュー投資というのはざっくりいうと割安な銘柄を購入して株価が上がるまで長期保有する投資スタイルのことです。
株式市場にはたくさんの企業の株がありますが、常にその企業本来の業績や将来性に応じた株価になっているわけではなく、企業本来の価値が市場では正しく評価されずに株価が割安になっている場合があります。
こういった適正な価格よりも割安な銘柄を狙って投資をするのがバリュー投資というわけです。
ちなみに割安な株のことをバリュー株と言います。
バリュー投資のメリット
頻繁に株を売買する必要がない
バリュー投資は一度株を買ってしまえばあとは株の値上がりを待つだけなので、1日に何度も売買をするデイトレードのように株の売買に時間をかける必要がありません。
具体的には1日に2度ほど株価を確認すれば十分なので、日中働いている方にとっても大した負担にならないということでとても敷居の低い投資スタイルとなっています。
リスクが小さい
先ほどお話ししたようにバリュー投資は割安な銘柄に投資して長期保有する投資なので基本的に割高で株を買ってしまうことはありません。
割安で買った株は長期的に見て上昇することはあっても、それ以上大きく下がることはあまりないので、リスクが小さいという非常に大きな魅力を持っています。
大きな収益を見込める
バリュー投資では割安な銘柄を買うので、その銘柄が標準の株価または、それ以上になれば大きな収益を見込むことができます。
もちろん、半年〜数年の長期保有を前提とした投資法なので、時間はかかりますが、年間で10%を超える利回りを狙うことは十分に可能です。
預金の金利が年間で0.001%のご時世に年間で10%の利益が出るのは非常に魅力的と言えるのではないでしょうか?
バリュー投資のデメリット
損するリスクもある
バリュー投資では割安な株を買うわけですが、実際にその株が『割安』といえるかは全て自分で判断する必要があります。
つまり株価が割安ではない場合に買ってしまって損をするリスクもあるんですね。
そのため、銘柄を選ぶ時には、割安だと確信の持てる銘柄だけに絞って投資を行う必要があります。少しでも迷うのであれば、「縁がなかった」ということで潔く諦めてしまうのがいいかと思います。
すぐには利益が出ない
バリュー投資では長期保有を想定しているので利益の回収には時間がかかります。
すぐに利益を生み出すことができる短期投資のような利点はないので注意が必要です。
保有をしているうちに買った時点より、株価が下がってしまうことがありますが、そういった場合には慌てて売ってしまうのではなく、徐々に買い足していく(ナンピンする)ことが有効です。
株価が適正に評価されない場合がある
割安で買った株が長期間割安の状態で置かれるということがあります。
一般的に株価は適正に評価される傾向にありますが、時に株価が上がってもいいはずなのに上がらないといったイレギュラーが発生します。
バリュー投資ではそういった場合も想定して長期的な保有を忍耐強く続けていく必要があります。
バリュー投資の銘柄の選び方
バリュー投資について理解が深まったところで実際の銘柄の選び方について解説していきます。
バリュー投資の銘柄を選ぶ手順は大きく以下の2つです。
- スクリーニングを利用して候補を絞る
- 絞った候補の中から有望な銘柄を選ぶ
手順1:スクリーニングを利用して候補を絞る
まず、始めにスクリーニングと呼ばれる銘柄を絞り込むツールを利用して、数千の銘柄を10銘柄ほどに絞り込んでいきます。
このスクリーニングの仕方と、スクリーニングの条件については他の記事で解説しているのでそちらを参考にしてみてください。
スクリーニングの際に必ずといっていいほど用いる指標がPERとPBRなので、この機会に押さえておくと非常に便利かと思います。
PERとは?
PERというのは株価収益率というもので、この数値が高ければ割高、低ければ割安と判断します。
日本の上場企業のPER平均が15倍程度なので15倍より高ければ割高、それより低ければ割安と考えられます。
PBRとは?
PBRというのは株価純資産倍率というもので、この数値が高ければ割高、低ければ割安と判断します。
一般的には、PBRが大体1倍〜1.5倍であれば割安、それ以上であれば割高であると考えられます。PERと併せて利用することで、本当にその企業の株が割安な水準にあるのかを見極めやすくなります。
ただしPER・PBRともに、業種ごとに割安・割高の基準が変わってくる場合があるので、『業種別PER』というものも確認しておくことをおすすめします。

業種別PERは、『業種別PER』で検索をかけるとすぐに確認することができます。こちらからも確認することができますので興味のある方は見てみると面白いかと思います。
手順2:絞った候補の中から有望な株を選ぶ
スクリーニングで候補を絞ったら、更にその中から有望な株を選んでいきます。
候補を絞る際には以下のような項目でふるい落としをかけるといいと思います。
中期経営計画に将来性を感じるか
中期経営計画とは、企業が今後数年でどのような成長を目指していくかを具体的に示した計画のことです。
企業によって中期経営計画がある企業とない企業がありますが、中期経営計画のある企業の方が今後の具体的ビジョンが分かりやすいので中期経営計画のある企業をなるべく選んだ方が難易度は低くなると思います。
その上で、その企業の中期経営計画に将来性を感じるかどうかで、その企業の株が割安なうちに買い込んでおくかを決めましょう。
ちなみに中期経営計画は『企業名+中期経営計画』で調べることができますが、中期経営計画自体がない場合には表示されないので注意が必要です。
過去の経営計画が達成されているか
中期経営計画を読んで例え将来性を感じることができたとしても『計画』なので達成されるかは分かりません。これは当然のことなので、仕方がありませんが、これまでの中期経営計画を達成している企業とそうでない企業では当然信頼性が変わってきます。
そのため、中期経営計画を読んだら、ここ10年程度の中期経営計画が達成されていたのかそうでないのか、そしてその理由はなんなのかということをできるだけ確かめておくことをおすすめします。
自己資本比率が40%以上かどうか
一般的に『自己資本比率』と呼ばれる値が40%を上回っている企業は倒産しにくいと言われています。
割安だからという理由で買った株でも、その企業が倒産してしまっては元も子もないので企業が倒産するリスクはないかということは絶対に確認するようにしましょう。
ちなみに自己資本比率は、『企業名+自己資本比率』で検索すると確認することができます。
流動比率が100%を超えているか
自己資本比率と併せて企業の倒産リスクを見るのに役立つのが流動比率です。
一般的に流動比率が100%を超えていると倒産しにくいと言われています。自己資本比率と流動比率は以前まとめて解説をしているので参考にしてみてください。
バリュー投資で株を買うタイミング
バリュー投資で株を買うタイミングは大きく二つあります。
景気が悪くなったとき
まず1つ目が景気の悪化で株価が下落したときです。
景気が悪くなると大量の株式が売られて株価は大きく下落します。そうすると株価が割安となるので、割安株を買うことができるわけです。
ただし本当の不況の場合には、株価が1年〜2年下がり続けることもあるので、株価が安いと思っても全額で株を買うのではなく、様子見程度で買うようにして、徐々に買い足していくといいと思います。
業績とは関係なく株価が下がったとき
2つ目は業績と関係なく株価が下落したときです。
最近で言えばコロナの影響で株価が大きく下落したタイミングですね。
これは一定の企業にとっては業績と関係のない下落であり、こういった場合株価は遅かれ早かれ上昇へと転じます。こうしたタイミングで割安で株を買っておけば十分に利益を得ることができるんですね。
バリュー投資で株を売るタイミング
株を売るタイミングは割高になった時です。(割高かどうかは先ほどお伝えしたPERやPBRを参考にしてみてください。)
株を売る時に注意したいのは売り抜けを狙わないことです。
株価は上がったら確実に下がります。上がり切った状態で売るというのはほぼ不可能なので、早めに売るということを心がけるようにしましょう。
早めに売って損をした気持ちになるのは、宝くじを買っておけば当たっていたかもと思うくらい楽観的な考え方なので諦めて次に活かすことが大切です。
株価が割高になって利益が出るなら素直に喜んで売ってしまって、次の割安株を見つけることに集中しましょう。
まとめ:バリュー投資で資産を増やそう!
- バリュー投資は割安な銘柄に投資して長期保有する手法
- バリュー投資はメリットもあるがデメリットもある
- 割安かどうかを見極めるのがポイント
- バリュー株を探すならスクリーニングを活用する
- 割安かどうかを見極めるためにはPER・PBRが必須
- 1度に買い込みすぎるのは危険
バリュー投資は初心者が始めるのにとてもいい投資スタイルだと思います。
慣れるまでは、割安かどうかを見極めるのは少し難しいかもしれませんが最初は自分への投資だと思って単元未満株などで少額から挑戦してみるといいと思います。
記事を通してお役に立てたら嬉しいです。