今回は株式併合と株式分割について解説します。
株価が動くイベントの一つとしてこの機会に押さえてもらえればと思います。
株式併合とは何か?
株式併合とは企業が発行済み株式数を減らす目的で、複数の株式を1株にまとめることです。
n株から1株へと株式併合をすると保有株式はn分の1に、価格はn倍になります。ですから結果的に資産価値は変わりません。
例えば2株を1株に株式併合すると、n=2なので保有株式は2分の1に、価格は2倍になります。画像を見てみると資産価値は2000円で変わっていませんよね。

株式併合の目的
企業が株式併合を行う目的は大きく3つあります。
株価を引き上げる
まず一つ目は株価を上げるためです。株価は企業にネガティブな要素がないと大きくは下がりません。ですから、株価が安い企業は悪材料があるのではないかと疑われるので印象が悪いです。そういった株は低位株、クソ株などと呼ばれますが、そういった株からの脱却を目指して株式併合をする場合があります。
低位株、クソ株と呼ばれるのは一般的に500円以下の株です。こういった安すぎる株を見たら悪材料があるのではないかと疑う癖をつけましょう。
株主管理コストと経費の削減を行う
2つ目の目的が株主管理コストと経費の削減です。
株主併合が起きると株主数が減少し、株主管理コストが削減されます。特に単元未満の株数しかなくなった人に対しては配当金や株主優待を出さなくても良くなるので管理コストと経費の削減になります。
最低売買価格が下がりすぎないようにする
3つ目の目的は売買単位を100株に統一する際に、最低売買価格が下がりすぎないようにすることです。
今のように最低売買単位が100株に統一されるまでは売買単位が1000株と100株の企業が存在しており。それを100株に統一することになったのですが、そうなると最低売買価格が10分の1になる企業が出てくる、つまり株価が安くなりすぎるという企業が出てきました。
その下がりすぎた売買価格を引き上げるために同時に株式併合をする企業が多かったんですね。
2018年まで株式併合が盛んに行われてきたのにはこういった背景が関係しています。
ただこれは過去の株式併合にのみ見られる目的なので、2019年以降の株式併合は大きく下がった株価を押し上げるため、もしくは株主管理コストと経費の削減をするための2つに大別できます。
株式併合のメリット
株式併合のメリットは株主管理コストと経費削減によって会社の経営を楽にできるということです。
ただ、株主管理コストと経費削減のみを行っても効果は薄いので、大きい経営改革と同時に行われなければあまり期待はできません。いってしまうとメリットはあってないようなものだと思います。
株式併合のデメリット
単元未満の株(ミニ株)を保有している方にデメリットがあります。
単元未満の株、つまり100株未満の株しか保有していない人は株式併合で配当や株主優待の権利をなくし、株主の地位を失うことになります。これは非常にそのため、株式併合を決めるときには特別決議を行って厳しく賛否を問われます。ちなみに株式併合で発生した単元未満株は企業に買取請求して換金または単元株になるまで買い増し請求をすることができる。
株式併合で株価はどうなる?
一般的に株式併合をしても株価は変化しないと言われています。
2018年までの売買単位との変更と同時に行われていた株式併合は投資家の利便性が高まり、株価上昇のケースが多く見られました。しかし2019年以降は企業の業績が低迷して株価が下がってしまったのを押し上げるために株式併合することが多いので株価が上昇するということはあまりありません。
また、投資家としては株価を表面的に押し上げようとする企業の株を買いたいとは思えませんし、そういった企業の株価は株価下落の要因が解消されないと厳しいと思います。
株式併合で更なる不信感が募れば逆に株価が下落してしまうというケースも存在します。
株式併合にどう対応すべき?
株式併合で何かしらの対応をする必要があるのは単元未満株(ミニ株)を保有している方だけです。投資初心者の方だとミニ株を保有している方が多いと思うので、そういった方は株式を売却してしまう、または単元以上になるように買い増しをする必要があります。
結論からいうと売って手放してしまうのがベストです。以下その理由について場合ごとにお伝えします。
低位株からの脱却を目的とする場合
低位株からの脱却を目指しての株式併合であれば、本質的な株価下落の要因が改善されるまでその株を手放してしまうのがいいと思います。そういった企業の株を単元数に満たるまで買い増すのはリスクでしかありません。その企業に投資をするよりも他の投資先を見つけて、投資をした方が遥かにリターンを得られる可能性が高いと思います。
経費の削減を目的とする場合
経費の削減を目的とした株式併合の場合は、株式併合と同時に他の経費削減も行われているかを確認して、単に株式併合をしているだけであれば手放してしまうのがいいと思います。単なる株式併合では業績の向上はあまり期待できないので無理して買い増す必要はありません。
諸々の経費削減と一緒に株式併合をする場合は、売ってしまっても、買い増してもいいと思います。ただ、無理して買い増す場合と、他に投資したい企業がある場合は絶対に売ってしまったほうがいいと思います。無理して買い増すのはリスクが非常に高く、また、他に投資したい企業があればそちらに投資した方が資金の運用法として合理的です。
株式分割とは何か?
株式分割とは今まで一個だった株をいくつかに分割することです。
例えば株を2個に分割する場合、分割前に100株保有していたとすると1株が2株になるので分割後は200株になります。
分割によって幾つに分割するといいうのは決まっていませんが、いずれにしても分割に伴って1株当たりの株価も分割されるので資産価値、つまり保有している株の価値は変わらないです。
株式分割のメリット
メリット1:株を買いやすくなる
1つ目は株を買いやすくなるということです。株式分割をすると1株あたりの株価を安くに再設定することが可能なので、通常100株100万円の株を100株50万や20万ほどから買うことができるようになります。株価が低いほどたくさんの方に買ってもらいやすくなるので企業としてはそれを見込んでの株式分割ということでしょう。
メリット2:株価が上がりやすくなる
イメージで株価が上がる!
株式分割によって株価が低く再設定されることで今までの高い株価のイメージがなくなって株価が上がりやすくなります。
実際の株の価値は変わっていませんが、1株あたりの株価が安くなると株価が上昇していきそうな錯覚に陥りませんか?(100円の株と1万円の株ではどちらの株の方が伸びしろが大きいと感じますか?)
私を含め大抵の方は株価が低いほど伸びしろがあるという錯覚に陥るものだと思います。そうした結果伸びしろを感じて買いが増えるため株価が上がりやすくなります。
配当・株主優待で株価が上がる!
株式分割を行っても配当や株主優待は据え置き(そのまま)という場合あるので、実質的に利回りがよくなります。
例えば株式分割によって100株が200株になれば、2倍の配当や株主優待を得られることになります。
その結果株主が魅力を感じて株を買う動きが高まり、株価が上昇しやすくなっていると考えられます。
株式分割で株価はどうなる?
一般的に株式分割で株価は上昇すると言われています。
先ほど述べたようなメリットがあるからですね。しかし、株価が上昇しないケースも30%程度あり、株式分割が株価上昇に直結するという風に考えるのはとても危険です。
株式分割にどう対応すべき?
保有している株の株式分割が発表されたら、株式分割後の配当金、株主優待がどうなるか確認しましょう。
もし、配当や株主優待が据え置きとなる場合には株価上昇を見込むことができるのでそのまま保有を検討してみるといいと思います。
また、そういった配当の据え置きなどのメリットがない場合でも、下落要因になることはないので、そのまま保有をしてみるのが無難かと思います。
まとめ:株式併合は微妙なイベント!株式分割はいいイベント!
- 株式併合とは複数の株式を一つにまとめること
- 経費を削減したり、低位株からの脱却を目的として行われる
- メリットはあまりない
- 単元未満株を保有している人は注意
- 株式分割とは今まで一個だった株をいくつかに分割すること
- 株価は上がりやすくなる
- 下落要因はないので保有を続けるのが無難
株式併合と株式分割について理解が深まったのではないでしょうか?
株価はイベントで大きく動くので、押さえておくと便利かと思います。
記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。