今回はストキャスティクスとは何かについて図を用いて解説します。言葉で理解が難しいと感じたかも図を見て理解を深めてもらえればと思います。
ストキャスティクス(Stoch)とは?
ストキャスティクスとは逆張り指標のこと

ストキャスティクスとは一定期間の価格範囲と終値の位置との比較で相場の行き過ぎを推測する逆張り指標のことです。
逆張りとは、株価が下がっているときに株価が上がることを見込んで株を買う投資手法のことです。そして、その『逆張り』をする際に利用される指標のことを逆張り指標と言います。
同じような逆張り指標としてRSIがありますが、RSIが一本のラインで構成されるのに対してストキャスティクスは2〜3本のラインで構成されているなど見た目も、そもそもの意味も似ているようで全くの別物です。
ストキャスティクスとRSIの違いに関してはRSIの記事で詳しく解説しているので、区別に自信がない方は参考にしてみてください。
赤い線と青い線は何?
ストキャスティクスは赤い線と青い線の2本の線から成ります。
このうち、赤い線は%Kというもので、青い線は%Dというものです。
%Dは%Kを平均して求めるものなので先に%Kについて解説、続けて%Dについて解説していきます。
%Kとは何か?
%K=(Cn-Ln)÷(Hn-Ln)
で計算することができます。とはいってもこれでは理解できないですよね。これは無視して構いません。
この難しい計算式を日本語に直すと
%K=(現在の株価−一定の期間での安値)÷(一定期間における高値-安値)
という風にになります。
しかしこれでもいまいち理解しづらいと思います。計算式で理解しようとすると必要以上に難しくなってしまうので、まずは下の図を見ていただければと思います。

画像で示しているように%Kは現在の株価が過去の一定期間の値幅の何%部分に位置するかということを示しています。言葉では分かりづらいかもしれませんが、上の図を見れば意外と簡単に理解できると思います。
(補足ですが上の画像はストキャスティクスではなく、株価チャートのつもりです(笑)ストキャスティクスと酷似しているので注意してください。)
例えば下のような株価チャートの場合、株価が値幅の100%の位置にきているので%K=100%になります。
また、現在の株価が値幅のちょうど真ん中に位置していれば%K=50%といった感じになります。

意外と簡単に%Kについて理解ができたのではないかと思います。
%Dとは何か?

次に%D についてですが%D は%Kを3日平均したものです。3日平均することで、%Kよりも少し遅れて動くようになります。
%Kと%Dの2つをみるとどうしても混乱してしまうという方は、始めのうちは%K、つまり赤い線だけ意識してみるといいと思います。
ストキャスティクスから何が分かる?
ストキャスティクスを見ることで株の買い時と売り時を判断することができます。ただ、最初に逆張り指標とお伝えしたように買い時を判断する意味合いが強いです。
ストキャスティクスの使い方
ストキャスティクスの間違った使い方
一般的には、ストキャスティクスが80%を超えると売り時、ストキャスティクスが20%を下回れば買い時などと言われています。
しかし、これは本当に有効なストキャスティクスの使い方ではありません。%Kについて理解された方であればこれがおかしいことをすぐに理解できると思います。

例えば上のチャートのように株価がどんどん上昇している時というのは現在の株価が一定の期間における高値になる可能性が高いわけですから必然的に%Kは100%に近い数値になってしまいます。
では、%Kが80%を超えてしまっているので、これは売り時でしょうか?
違いますよね。
このチャートを見ると株価が綺麗に上がっているのでまだまだ株価が上昇していく可能性が高いと考えるのが妥当だと思います。
下降トレンドにある時も同じようなことが言えますから『20%を下回ったら買い』というのも、そのまま下がり続けている株を買うことと何ら変わらないので間違ったストキャスティクスの使い方であると言えます。
ストキャスティクスの正しい使い方
ではストキャスティクスをどのように用いるのが正しいかというと以下のように使うのが正しいです。
- %Kが80%を超えていたのに、80%を下回り始めた時に売る
- %Kが20%を下回っていた時に20%から上昇し始めた時に買う
%Kが80%を超えていたのに、80%を下回り始めた時に売る
上昇トレンドにある時に%Kが80%を下回り始めたということは、株価が上昇から下落に転じた可能性を示唆しています。
そのため、%Kが80%を超えていた状態から、80%を下回り始めた時に得るというのは非常に理にかなったストキャスティクスの使い方であると言えます。
もちろん確実というわけではありませんが、指標として用いる分にはしっかりと役に立つと思います。
株の世界ではストキャスティクスのような指標を100%信じるのではなく、あくまで可能性の一部として参考にするのが主な使い方です。
%Kが20%を下回っていた時に20%から上昇し始めた時に買う
%Kが20%を下回っていたにも関わらず20%から上昇し始めた場合というのは株価が下落から上昇に転じたということを示しています。ですからこのタイミングで株を買うのは非常に理にかなっています。
ですからストキャスティクスは逆張り指標として用いられることが多いんですね。
もちろんこれも絶対に正しいというわけではありませんが、先ほどの80%を超えたら売り時、20%を下回ったら買い時というストキャスティクスの使い方よりはるかに有効な活用法です。
これまでなんとなくでストキャスティクを見ていた方はこういった使い方をしてみてはいかがでしょうか?
まとめ:ストキャスティクスを使って賢い投資を!
- ストキャスティクスは逆張り指標の一つ
- ストキャスティクスは%K、%Dの2本の線からなる
- %Kは現在の株価が過去の一定期間の値幅の何%部分に位置するか
- %Kが20%を下回っていた時に20%から上昇し始めた時に買う
ストキャスティクスについて理解が深まったのではないでしょうか?
指標に確実なものはありませんが、いろいろな指標を組み合わせて用いることで誤った判断を防ぎ、正しい判断をするのに役立つ場合があります。いろいろな指標を理解して、多角的に判断をできるように努力することが大切です。
記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。