今回は企業の価値を示す『時価総額』について解説します。
理解できていそうで理解できていない言葉の一つだと思いますので、この機会に是非押さえてもらえればと思います。
時価総額とは何か?
時価総額とは企業全体の価値を示す指標のことです。
例えば時価総額100億円の企業をまるまる買収しようとすると、100億円かかるということになります。
時価総額の計算方法
時価総額=株価×発行済み株式数
で求めることができます。
例えばトヨタは株価が6956円、発行済み株式数が3262997492株(32億)なので、
トヨタの時価総額は6956×3262997492(32億)=22697411000000(22兆円)で
約22兆円ということになります!
時価総額は株価よりも重要!
勘違いされている方が多いと思いますが、企業の規模や価値は株価ではなく、時価総額で判断します。
というのも企業によって発行株数が違うからです。
例えば、A社とB社があって、それぞれ株価と発行株数が以下のようになっていたと仮定しましょう。
A社:1株1000円×1億株=時価総額1000億円
B社:1株10000円×1万株=時価総額1億円
株価だけ見るとA社の方が安いのでA社の方が規模が小さく感じますが、発行株数に大きな差があるので時価総額で見るとA社の方が規模・価値が大きいということが分かります。
そして、1000億円の価値があるわけですから実際にA社の方が規模・価値が大きいということになります。
要するに企業の価値を見るときは株価ではなく、時価総額を見るべきということなんですね。
時価総額の目安

次に時価総額の目安について簡単に触れておきます。
時価総額の目安は上の表の通りです。一般に時価総額が大きい企業ほど経営が安定します。
また、時価総額の大きい大企業・超大企業は銀行などの金融機関からの信頼も厚く、資金の借り入れも比較的スムーズに行える場合が多いです。
ただし、時価総額の数値はあくまで目安に過ぎないので、参考程度にしてください。
時価総額から分かること
ボラティリティが分かる
時価総額の大きさからボラティリティの大きさが分かります。
ちなみにボラティリティとは、株価の値動きの激しさを示す数値のことです。ボラティリティが大きいと値動きが激しい、ボラティリティが小さいと値動きが小さいということになります。
一般的に時価総額が大きい企業はボラティリティが小さく、時価総額が小さい企業はボラティリティが大きい傾向にあります。
時価総額が大きい企業は、売買される株の数量が多いので、1回の売買が株価に与える影響が比較的小さいです。そのため、株価が動きにくく、ボラティリティも小さくなる傾向があります。
一方で時価総額が小さい企業の株は、売買される数量が少なくなってしまうので、1回の売買あたりのインパクトが大きくなってしまいます。その結果、株価が動きやすくなるので、ボラティリティも高くなります。
また、ボラティリティが大きいということは大きく利益を狙えるということでもあるので、大きな利益を狙いたい場合には時価総額の小さい企業を選ぶのがセオリーです。
この考え方はまさに成長株投資で利用されていて、成長株投資の銘柄選びでは必ずといっていいほど時価総額の小さい企業絞り込みます。
逆に値動きの安定した銘柄で安定した利益を狙う場合には、ボラティリティの小さい時価総額の大きい企業を選ぶのが一般的です。
高配当株投資や、バリュー株投資などがこちらに該当します。
流動性が分かる
時価総額から流動性も分かります。
流動性とは、株がどれだけ売り買いされているかということで、流動性が高いと売買が盛ん、低いと売買が少ないということになります。
一般的に時価総額が大きいほど流動性が高く、時価総額が小さいほど流動性が低くなる傾向があります。
時価総額が大きい企業は基本的に流動性が高いので株を買いたい時に買ったり、売りたい時に売ったりすることができますが、時価総額の企業は流動性が低いので、自由に売買をすることができない場合があります。
つまり、買いたいときに株を売ってくれる人が見つからないという場合があるんですね。
また、流動性が高いと、株はいろいろな人に買われますが、流動性が低いと特定の投資家が株の買い占めを行って株価が意図的に操作されてしまうこともあります。
このような株のことを『仕手株』といいますが、初心者には非常に難易度が高いので、時価総額が小さく、流動性の低い企業の株はあまり手を出さないようにしましょう。
日本企業の時価総額ランキング


上の画像は日本企業の時価総額ランキングです。
実際にランキングを見ると時価総額が企業の価値や規模を表すということにも納得ができますよね。
トヨタ、ソフトバンク、ソニーなど日本を代表する名だたる企業が上位に食い込んでいます。
もっとみたいという方はこちらから上位50社まで見ることができるので是非。
ちなみに時価総額3位『キーエンス』という謎の企業について知りたい方はこちらからwikiにとべるので参考にしてみてください。
まとめ:時価総額を見て会社の価値と規模を確認しよう!
- 時価総額とは企業全体の価値のこと
- 時価総額=株価×発行済み株式数で計算できる
- 株価=企業の価値ではない!
- 時価総額からボラティリティと流動性が分かる
時価総額について理解が深まったのではないでしょうか?
これからは企業を見るときは時価総額も見るようにしてみましょう。
記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。