今回は移動平均線について基本的なことから、使い方まで解説をします。
世界で一番有名なテクニカル指標となっているのでぜひこの機会に押さえてもらえればと思います。
移動平均線とは何か?

現在を基準として過去何日間の終値の平均値(移動平均値)を繋いだ線のことです。
5日移動、20日移動、25日移動、50日移動…など色々な期間の移動平均線があり、それらをまとめて移動平均線と言います。
移動平均線は1950年ごろから使用が始まったテクニカル指標で、世界で一番有名といっても過言ではないインジケータです。
チャートには、もはや初期設定として表示されているレベルで、移動平均線=Moving Averageなので略して『MA』という風に表示されています。
テクニカル指標というのは、テクニカル分析で用いられる指標のことです。
買いサインや売りサインに利用されることが多く、有名なものとしては『グランビルの法則』というジョセフ・E・グランビルという方が考案したチャートパターンの判断に用いられています。
移動平均線の求め方
移動平均線は各日における移動平均値を結んだものなので、移動平均線を求めるためには『移動平均値』を計算する必要があります。
移動平均値=何日間の終値の合計÷日数
例えば5日間の移動平均値であれば、5日間の終値の合計を5日で割ると求めることができます。
移動平均線から分かること
トレンドが分かる
移動平均線を見ることでトレンドが分かります。
移動平均線が上昇していれば上昇トレンド、下降していれば下降トレンドです。
この時に、短期的なチャートでトレンドを把握するだけでなく、数ヶ月単位や、年単位でのチャートも確認するようにしましょう。
というのも、トレンドは長期間>短期間という風に、長期的なものの方が強い傾向にあるからです。
市場が楽観的か悲観的か分かる
移動平均線より上に価格があるところは過去何日間かに買っている人は平均的に儲かっているということでもあります。
つまり、VWAPのような使い方ができるわけなんですね。
儲かっているかどうかということが分かるということは、要するに、市場が楽観的か悲観的かを見るのに役立つので、売りと買いのどちらが強くなりやすいかということが分かるわけです。
移動平均線の使い方
ゴールデンクロスで買う

移動平均線の使い方で一番有名な使い方が『ゴールデンクロスで買う』という方法です。
ゴールデンクロスというのは、上の画像のように移動平均線をチャートが上抜けるときの交差のことです。
ゴールデンクロスは株を買って含み損を抱えていた人が、含み益を出し始めるタイミング、つまり悲観的だった市場が楽観的になるタイミングとも言えます。
つまり、市場が悲観的にも関わらずゴールデンクロスになった場合には、株価が上昇する見込みは薄いので買いの判断を見送る必要があります。
デッドクロスで売る

「ゴールデンクロスで買う」の反対でよく使われるのが『デッドクロスで売る』です。
デッドクロスというのは、上の画像のように移動平均線をチャートが下抜けるときの交差のことです。
こちらは楽観的だった市場が悲観的に変わるタイミングと言えます。
市場が楽観的なままデッドクロスになった場合には株価下落の見込みは薄いので売りの判断を見送ることを視野に入れておく必要があります。
何日移動平均線が一番有効?
結論からいうと移動平均線にどれが一番有効というのはないので、銘柄やその時のトレンドにあわせて移動平均線を使い分ける必要があります。
ただし、最近では5日、20日、40日が使われることが多いので色々と調整するのが面倒という方は参考にしてみてください。

例えば、上のチャートは25日移動平均線を表示したものですが、『デッドクロスで売り』があまり機能していないことが分かるかと思います。

一方でこちらは67日移動平均線とかなりいじった数値の移動平均線ですが、先ほどと比べて移動平均線が機能しているのが分かりますよね。
このように、トレンドの中で移動平均線がうまく機能していないなと思った際には、数字をいじって機能する数値を見つけるという作業が必要です。
移動平均線を利用する際の注意点
初心者から上級者まで用いる移動平均線ですが、損をするだけの場合があるのでポイントを軽く触れておきたいと思います。
もみ合い相場では損するだけ!

上のチャートはモブキャストホールディングス(3664)のものに15日移動平均線を表示したものになります。
見ると分かるように、全く移動平均線が機能していません。
このようなもみ合い相場では、移動平均線が機能せずに、ただただ損をすることになってしまうので、トレンドを把握して、移動平均線を使うかどうかを判断するというのが非常に重要です。
上昇トレンド・下降トレンド→OK
もみ合い相場→NG
ちなみにもみ合い相場ではストキャスティクス、RSIなどの指標が有効です。
ゴールデンクロス・デッドクロスは有名すぎる
ゴールデンクロス・デッドクロスは世界的にも有名すぎるので注意が必要です。
初心者の方は驚かれるかもしれませんが、株価はある程度意図的に操作されているといっても過言ではありません。
そのため、『ゴールデンクロスで買う』、『デッドクロスで売る』という教科書的な株の売買をしているだけではカモにされてしまう危険性があります。
例えば、ジャンケンで相手がグーを出したらチョキを出せという教えがあったとすれば、それを利用してあえてグーを2回出すという戦術が生まれるのは当然ですよね。
それと同じで、株も勝負の世界ですから、有名すぎる戦術というのは対策をうたれて逆にカモにされてしまう場合があります。
ふるい落としというのも典型的なパターンなので押さえておくと役に立つと思います。
移動平均線を利用するのは良いことですが、移動平均線だけでなく、他のテクニカル指標も利用して売買の判断をする必要があります。
移動平均線は遅行指標である!

移動平均線は過去の終値の平均値を求めたものですので、株を買うタイミング、株を売るタイミングが分かるまでが少し遅いです。
例えば上のチャートであれば、理想の売りのタイミングより遅れてデッドクロスを見ることができますよね。
そのため、移動平均線が少し遅れてやってくる指標であることを認識した上で、値動きが早い相場では移動平均線をあてにせずに、早い相場であてになるテクニカル指標を使用するといった工夫をする必要があります。
一般的に早い相場ではMACDが移動平均線よりあてになります。
移動平均線を使ってチャート分析をしよう!
- ゴールデンクロスで買う
- デッドクロスで売る
- まずはトレンドを掴むことが重要
- 移動平均線に依存せずに他の指標も利用する
- 値動きが早い相場では使用を控える
移動平均線について理解が深まったのではないかと思います。
移動平均線を使えるだけでも売買の判断基準に軸ができることが分かると思いますので、ぜひ他の指標についても基礎的な知識を入れて、更に判断基準を増やしてもらえればと思います。
記事を通して少しでもお役に立てたら幸いです。