株を始めた方、これから始める方が知っておくべき基本的な用語の1つが損切りです。
今回は損切りという基本的なワードの意味と損切りが大切な理由、あまり語られない注意点など基礎的な知識をまとめて解説します。
損切りとは何か?
損切りとは株価が買った時よりも下がって含み損が出てしまった場合に、それ以上損が膨らむ前に株を売ることです。
例えば、1000円で買った株の株価が900円に下落したとしましょう。この時、株価は下落傾向にあるといえるので今後も下落する危険性というのが高いです。
そこで、株価が800円、700円と下がってしまう前に900円で株を売って損切りしてしまうわけです。
損切りをする目的と重要性
では損切りをする目的とはなんでしょうか?
普通に考えると損失を小さく抑えるためということになりますが、本質的には、損切りは元本を減らさないということが目的です。
というのも投資は元本が大きいほど利益が出るからですね。(100万円で投資をする方と1万円で投資をする方では利益が100倍違います。)
例えば1000円で株を買って損失率80%、つまり株が200円まで下落してしまったとしましょう。次の投資ではその200円が元本となりますよね。そして、次の投資でその200円を1000円に戻すためには
800円、つまり4倍の利益を生まなければいけません。
しかし損失率10%、つまり株が900円まで下落した時点で損切りをした場合、次の投資で900円を1000円に戻すためには
100円、つまり1.1倍の利益を生み出すだけで済みます!
4倍の利益を生むためにはかなりの運と実力が必要になりますが、1割の利益を出すだけであれば現実的に達成可能なのではないかと思います。
このように損切りを早めにすればするほど少ない利益率(高確率)でもとの元本へと戻すことができるということですね。
そして先ほどもお伝えしたように投資はこの『元本』、つまり資金が大きければ大きいほど利益も大きくなるわけですから最終的に損切りがとても重要になってくるということなんです。
損切りラインの目安
損切りの目的と重要性については理解できたかと思いますが、損切りは具体的にどこを目安にするといいのでしょうか?
結論からいうと損切りは7〜8%の損失が出たらするといいと思います。この数値は多くの有名な投資家も言われている数値で、多くの個人投資家が用いている値なのではないかと思います。
なぜこのような小さい損での損切りが推奨されているかというと、先ほどもお伝えしたように損失が大きくなればなるほど元の金額に戻すために必要な利益率も跳ね上がってしまうからですね。
以下の損失率と、その損失を取り戻すために必要な利益率の関係を見ていただくと、より分かりやすいかと思います。
損失5%→利益率5.26%必要
損失10%→利益率11.1%必要
損失20%→利益率25%必要
損失80%→利益率400%必要
私の経験から言うと、リスクを取らない投資スタイルでは利益率20%以下は比較的簡単、それ以上は難易度が高いといった感じです。
ですから損切りラインを10%以内には設定して、損失をが10%を超えてしまうことがないようにすることをおすすめします。
ちなみに逆指値注文と呼ばれるものを使うと損切りラインを設定することが可能です。
損切りラインを引き下げる応用テクニック
損切りラインを7%から8%の損失が出たらという風に目安をお伝えしましたが、買いたい銘柄によってはすぐにこの損切りラインに引っかかってしまう場合もあるかと思います。
そういった場合には、損切りラインを複数に分けておくことで損切りラインを引き下げてより攻めた投資をすることができるようになります。
例えば現在損切りラインを8%に設定している場合、株の半分の損切りラインを4%、もう半分の損切りラインを12%に設定することで損切りラインを引き下げることができます。
半分の株は損切りラインを8%に設定した場合よりも早く撤退してしまう可能性がありますが、もう半分の株は8%に設定した場合よりも長く投資を続けることが可能になります。また、この数値はあくまで例で、平均の損益率が8%を守れるのであれば1%と15%であっても大丈夫です。
銘柄によっては株価の上下が激しいものもあると思いますので、押さえておくと非常に便利かと思います。
こちらも先ほどと同様、逆指値注文で行うことができ、株数をそれぞれの損切りラインで設定することで可能になります。ただし100株のみしか株を保有していない場合は、この方法を用いることはできないので注意が必要です。
損切りのタイミング
損切りはあらかじめ設定した損切りライン(株価が何円まで下落したら売るという価格)を超えたタイミングで行います。
しかし、多くの方はこの損切りをする価格を決めていても実際には損切りをすることができずに、大損をして元本を大きく減らしてしまっています。
元本を減らすということはそれだけ利益を得にくくなるということですから、更に余計にリスクをとって利益を狙いにいく必要が生まれるので悪循環を生み出してしまいます。
そうなると、本来の目的である資産を増やしていくという目的は達成することがかなり厳しくなるので、本当に資産を増やしていきたいと思っているなら逆説的に損切りをしなければなりません。(重要)
注意点
ここまで損切りについて解説しましたが、最後に損切りについて理解する上で重要な注意点についてお伝えしておきます。
一般的に損切りが正義のような風潮が書籍を含め多くのメディアから見られ、現にいろいろな記事を読まれた方の中にも損切りを絶対にしないといけないと思われている方が多いのではないかと思います。
ただ、それを守って損切りをしっかりとしていれば利益が出るのかといえばそうではなく、損切りばかりしていると利益はかなり出しづらくなってしまいます。
損切り自体はただ単に『損を確定する行為』なわけですから当然ですよね。
では利益を出しやすくするためにはどうすればいいのかというと、状況次第で損切りだけでなくナンピンもする必要があると思います。
ナンピンというのは、株価が下がった時に損切りをせずに、株を買い足すことで、株の平均取得単価を下げることで損を小さくしたり、逆に利益を出すテクニックのことです。
ナンピンについての詳しいことは別の記事で解説していますが、損切りは大切であることを理解した上で、損切りに縛られずに状況に応じてナンピンも活用することが大切だということを押さえておいていただけたらと思います。
まとめ:損切りで元本を守ろう!
- 損切りとは含み損が大きくなる前に株を売ってしまうこと
- 損切りをすることで元本を減らさずに次の利益が出しやすくなる
- 損切りも大切だが損切りだけしていても利益は出しづらい
損切りについて理解が深まったのではないかと思います。損切りは確かに大切ですが、損切りは実際に損を出す行為でそれ事態全くすごいことではありません。
損切りだけしていても利益は出しづらいのでナンピンについても併せて理解して上手に使い分けていただければと思います。
記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。