今回は節税で大活躍の住宅ローン控除について解説します。
改正・改悪と言われているけど実態が分からない方や将来、家をローンで購入する予定がある方に役立つ内容となっているので参考にしてもらえればと思います。
住宅ローン控除とは何か

住宅ローン控除とは『住宅借入金等特別控除』のことで、一定の条件を満たした住宅購入に限り、年末のローン残高に応じて所得税や住民税を『直接』減らせる制度のことです。
ちなみに『控除』という言葉が難しい方は『引く』という意味だと思ってもらって大丈夫です。つまり住宅ローン控除は、住宅ローンを組むことによって税金が引かれる制度ということになります。
控除には所得控除や保険料控除などがありますが、これらは税金が直接安くなるわけではなく、所得税がかかる所得から経費を引いて、間接的に税金を安くできるという仕組みになっています。
一方で、この住宅ローン控除は所得税そのものから減額されるので他の控除より節税額が大きくなる傾向があります。
例えば、年収500万円のAさんに30万円の所得控除をしたとすると、年収から30万円引いた470万円から所得税が引かれることになります。そのため、30万円の控除とはいうものの、実際には10万円程度の節税にしかならないわけです。
では、30万円の住宅ローン控除の場合はどうなるかというと、500万円にかかる所得税から直接30万円が控除されるので、実際に30万円の節税効果があるんですね。
住宅ローン控除を受けるための条件
住宅ローン控除を受けるための条件としては大きく以下の5つが挙げられます。
- 50平米以上の物件であること
- 取得後半年以内に住んでいること
- 物件の半分以上を居住スペースとしていること
- 10年以上の住宅ローンがあること
- 所得総額が3000万円以下であること
50平米の物件ってどのくらいの広さ?

50平米というのは、50平方メートルのことで、家の面積、つまり縦(m)×横(m)が50になる広さのことです。仮に家が正方形だとした場合、1辺あたり7mちょっとあれば50平米になるということです。
50平米には、2LDKが多いので、50平米以上は、基本的に2LDK以上と考えていいと思います。
頭金は支払いすぎない方がいい?
頭金を支払いすぎて住宅ローンの期間が10年未満になってしまうと、住宅ローン控除の条件から外れてしまいます。
しかし、住宅ローン控除はローン残高が多い方が恩恵を受けられるシステムになっているので、頭金を抑えてギリギリ10年以上のローンを組んだからといって必ず得できるというわけではありません。
そのため、無理のない範囲で頭金を支払ってローンが10年を明らかに切ってしまう場合には無理に調整をする必要はないと思います。
あくまで個人的な意見なので、実際にどれくらいの損益になるかは計算することをおすすめします。
2021年住宅ローン控除改正の概要
2021年の住宅ローン控除改正では
住宅ローン控除の対象物件が50平米以上から40平米までOKに、
所得制限が3000万円以下だったものが1000万円以下に減額されます。
更に、13年の特別控除が延長され、新築なら令和3年9月までに中古なら令和3年11月までに『契約』をすれば、13年間の特別控除を受けることが可能になります。
ちなみにこれは、消費税増税による消費減衰対策となっていて、とてもお得なので嬉しいポイントですね。
2022年住宅ローン控除『改悪』の概要

2021年の住宅ローン控除改正は、それほど損をする方は多くないと思いますが、2022年に見送られた改正案こそが、住宅ローン控除『改悪』と言われている所以になります。
2022年住宅ローン控除改悪では『控除額の限度を支払い利息とする』可能性が極めて高いです。
というのも、改正・改悪の目的が、ローン金利の軽減を目的とした住宅ローン控除が金利を軽減するどころか逆に利益になってしまっているのを正そうというものだからです。
この改悪が起こるとどうなるかというと、これまで2000万円のローン残高がある場合には、その1%の20万円控除されていたものが、1年間で支払う利息分の約10万円のみの控除になるということです。
要するに節税効果がかなり小さくなります。
住宅ローン控除改正・改悪にどう対応すべき?
住宅ローン組んでいる方は関係なし!
すでに住宅ローンを組まれている方は、住宅ローン控除が改悪されたとしても従来通りの控除を受けることができるので、心配される必要はありません。
これからローンを組む方もまだ間に合う
一方でこれから住宅を購入してローンを組まれるという方は新築なら令和3年9月までに、中古なら令和3年11月までに契約をすることで、改悪前のお得な住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、マイホームの購入は人生で一番大きいお買い物なので、時期的に難しいという場合には、少し控除額は減ってしまっても焦らずにじっくりと検討することをおすすめします。
住宅ローンの金利タイプについては以前解説をしているので迷われている方は参考にしてみてください。
住宅ローン控除を受ける流れ

改正前も改正後も節税効果を期待できる住宅ローン控除ですが、実際に控除を受けるための大きな流れは以下のようになります。
- 初年度、購入時の謄本や売買契約書などの書類をもとに確定申告を行う(必須)
- 2年目以降は初年度確定申告以降税務署からもらえる書類を使って年末調整を行う
確定申告ときくと面倒に思われる方も多いと思いますが、はっきり言って確定申告ができなければ人生でめちゃくちゃ損するので、是非ネットやYouTubeを参考にして確定申告の仕方について勉強していただければと思います。
年末調整も、忘れてしまうと数十万円単位で損をしてしまうので、やり方が分からない方は今すぐ勉強しましょう。
おすすめの記事のリンクを貼っておくので興味のある方は参考にしてみてください。
住宅ローン控除の確定申告・年末調整はいつ・どのように行うか?手続き方法・必要書類・記入例を解説
まとめ:住宅ローン控除を活用して節税しよう!
住宅ローン控除について大枠が掴めたのではないかと思います。
改悪ときくとマイナスな印象を持ってしまいますが、その目的も真っ当なものですし、住宅ローン控除が節税対策になることは間違いないので、活用されることをおすすめします。
記事を通して少しでもお役に立てたら幸いです。