配当は多くの方にとって魅力的ですが、中でも配当の大きい高配当株を買おうとするしている方多いのではないかと思います。
YouTubeやウェブサイトなどを見ても『おすすめの高配当株』といって高配当株をおすすめする方が多く、そのデメリットに関して知る機会が限られているように感じました。
そこで、今回はそうした方々があまり伝えていない高配当株のデメリットについて初心者でも分かりやすいように解説したいと思います。
高配当株投資を検討している方の参考になれば幸いです。
高配当株のデメリット
今回お伝えしたい高配当株のデメリットは以下の6つです。
- 値上がり益を得にくい
- 分配ごとに課税が発生する
- 投資額が少ないと効果が低い
- 減配の可能性がある
- 株価下落の可能性がある
- 資産が増えにくい
デメリット1:値上がり益を得にくい
1つ目の高配当株のデメリットは値上がり益を得にくいということです。
一般的に高配当株というのは、成熟した企業に多いため、企業自体の成長というのはあまり見込むことができません。
企業の成長が見込めないということはそれに伴った株価の上昇も見込むことができないので、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うことは難しいです。
株で一番利益が出るのは配当ではなく、この値上がり益ですから、あまり意識されていないだけで利益を得る機会を失っているということはしっかりと理解しておいた方がいいと思います。
デメリット2:分配ごとに課税が発生する
2つ目の高配当株のデメリットは分配ごとに課税が発生するということです。
株などの投資で得た利益には一般的に2割の税金が発生します。高配当株の配当金もこれに該当するので、配当金のうち2割は税金として徴収されてしまいます。
ですから、高配当の株といっても実質的に得られる配当金は想像より少なくなります。
例えば配当利回り5%の高配当株の場合、実際に得られる配当金は税金を引いた8割なので、実質的には4%の配当金しか受け取ることができません。
デメリット3:投資額が少ないと効果が低い
3つ目の高配当株のデメリットは投資額が少ないと効果が低いということです。
私を含め、高配当株投資に魅力を感じられている方は毎月1万円もしくはそれ以上の不労所得を得たいと思っているのではないかと思います。
初心者にもおすすめされている高配当株投資ですが、そういった目標額を得るためには、少なくとも300万円以上は必要になります。

上の表は配当利回り4%の高配当株に投資をした場合の配当収入と必要資金を簡単にまとめたものです。(税金は引いてあります。)
毎月1万円でも375万円、毎月20万円になると7500万円必要ということになります。

次にこちらの表は投資資金ごとにどのくらいの配当収入を得られるか簡単にまとめたものです。条件は先ほどと同じで配当利回り4%を想定しています。
おそらく多くの方が100万円以下の資金を想定していると思いますが、100万円投資しても毎月3000円弱の収入にしかならないことが分かります。
このように、投資額が少ないと効果が低くなってしまうということは実際の数値を見て押さえておいていただければと思います。
デメリット4:減配の可能性がある
4つ目の高配当株のデメリットは減配の可能性があるということです。
高配当株は長期保有で配当収入を得続けられると考えてしまいがちですが、高配当株が、ただの『配当株』、最悪の場合、『無配株』になることはざらにあります。
※無配というのは配当が無いということです。
例えば、日産自動車は2016年から2019年にかけて高配当株でしたが、2020年末期は無配となりました。

特に2019年は配当利回り6.28%とかなりの高配当となっていたので、そこに飛びついた方はかなり痛い目にあったのではないかと思います。
このように高配当から減配になったり、無配になったりする危険性があるということはしっかりと押さえておくべきだと思います。
デメリット5:株価下落の可能性がある
5つ目の高配当株のデメリットは株価下落の可能性があるということです。
先ほどお伝えしたように高配当株の多くは成熟した企業です。成熟した企業は成長段階にある企業に比べて投資があまり必要ないので、余った費用を配当に充てて高配当を達成しています。
つまり高配当株を売りにしている企業はそうでない企業と比較すると、投資額が少なくなりがちであるといえます。
投資額が少なくなると当然、研究費などが削られるわけなので他社に遅れをとってしまう危険性があります。そうすると、競争力がなくなるので業績が悪化、それに伴って株価も下落という風な事態も想定することができます。
さらに、業績の悪化が起きるということは株価の下落だけでなく、先ほどお伝えした減配、無配もあり得るわけです。
このように高配当株は何か起きた時に、雪崩のように状況が悪化していくということを押さえておいていただければと思います。
デメリット6:資産が増えにくい
6つ目の高配当株のデメリットは資産が増えにくいということです。
資産を増やす上で重要となってくるのは、元々の資金量と時間、そして、複利ですが、高配当株投資では、時間をかけても企業は成長しづらいので効果が薄く、さらには配当金を受け取ってしまうので複利の恩恵を受けることもできません。
こういった特性上一時的な利益は得られるものの、長期的に見ると資産が増えないということになってしまいかねません。
配当金をさらに投資資金として充てるならまた別ですが、そういった場合にはそもそも配当を受け取らずに配当金をそのまま投資資金として組み込んでくれる投資信託の方が、2割の税金を取られないので適していると思います。
高配当株投資では資産は増えにくいということを押さえておきましょう。
高配当株のデメリットへの対処法
ここまで高配当株のリスクについて色々とお伝えしましたが、これらのデメリットへの対処法も併せてお伝えしようと思います。
対処法は以下の2つです。
- 値上り益を期待できる金融商品に投資して、定期的に定額で売る
- 不労所得を諦めて違う投資法を探す
値上り益を期待できる金融商品に投資して定期的に定額で売る
高配当株投資をしたいという方の目標は、不労所得を定期的に得るということなのではないかと思います。しかし、この不労所得は何も配当金である必要はなく、定期的に株を売って得られる値上がり益でもいいのではないでしょうか?
ということで、1つ目の対処法が値上り益を期待できる金融商品に投資して、それを定期的に定額で売るというものです。
ここでいう金融商品とは、主にインデックス投資を扱う投資信託や個別株などを意味します。
『定期的に定額で売る』というのは、1年に1回、半年に1回などのスパンで、保有している株を決めた額だけ売るということです。
例えば、100万円分株に投資して、1年に1回、10万円分売るといった感じです。
こうすることで、配当より利益の大きい値上がり益を狙いつつ、定期的な不労所得を得ることが可能になります。
定期的に不労所得を得たいけど高配当株はリスクが大きい、という方は参考にされてみてはと思います。
不労所得を諦めて違う投資法を探す
2つ目の対処法が不労所得を諦めて違う投資法を探すということです。
配当などの不労所得は確かに魅力的ですが、先ほどお伝えしたように、資産を増やしていくには適していなかったり、値上がり益を得にくかったりとデメリットもあります。
こうしたデメリットを理解した上で、高配当株を諦めることができるのであれば、資産を増やすのに適した投資法を選択することをおすすめします。
また、資産を増やすのに適した投資法としては、積み立てNISAやiDeCoによるインデックス投資がおすすめです。
定期的な不労所得を得たいという方は先ほど紹介した方法を、定期的な不労所得はなくてもいいという方はこういった方法をとられてみてはと思います。
まとめ:デメリットを理解して賢い投資をしよう!
- 高配当株は魅力的だがデメリットもある
- 思っているより配当はもらえず、資産は増えにくい
- 不労所得が欲しいなら何も配当金でなくてもいい
- 配当金を諦められるならインデックス投資がおすすめ
高配当株のデメリットについて理解が深まったのではないかと思います。もちろんデメリットを理解した上であれば高配当株投資を行っても問題はないと思いますので、ご自身の目的に適した方法で投資を行ってもらえればと思います。
記事を通して少しでもお役に立てたら幸いです。