PERやPEGレシオを求める上で欠かせないEPSという指標があります。今回は地味だけどとても重要なEPSについて初心者の方でもわかりやすいようにお伝えします。
EPSとは何か?
EPSとは日本語では1株あたり利益というもので、
当期純利益÷発行済み株式数 で計算することができます。
簡単にいうと1株あたりどのくらいの利益が今年出たのかを表す数値のことです。
簡単にとはいったものの、この利益というのはどの利益のことか漠然としていて分からないという方も多いと思います。ここでいう利益とは計算式にもある当期純利益のことです。当期純利益というのは企業に最終的に残った利益のことで、家計に例えると、
手取りから家賃、光熱費、食費その他もろもろの経費を引いて残ったお金と言えます。最終的に自由に使えるお金と言えそうですね。
いろいろな利益の違いについて分からないという方はこちらに諸々の利益の違いについてまとめていますのでおさらいしてみてください。
また、お気づきの方もいるかもしれませんが、EPSというのは例の如く英語の略で、Earnings Per Shareの頭文字をとったものになります。
それぞれ英単語はEarning=利益、Per=〜ごとの、Share=株という意味なので直訳すると1株ごとの利益ということになります。略さずに覚えると理解しやすいですね。
EPSの特徴とは?
では、次にEPSの特徴について触れていきます。
基本的にEPSが増えていれば企業の収益が増えているということを意味しています。逆にEPSが減っていれば企業の収益が減っているとも言えます。
株価は企業の収益と連動しますからEPSが増えれば株価は上昇しやすく、逆にEPSが下がれば株価は下落しやすいという特徴があります。
EPSが変動する要因とは?
EPSは重要な指標の計算に用いられることが多いですが、EPSが変動するとそれに伴って指標が変化するということになるので、EPSがどういった場合に変動するのかを押さえておくことはとても大切です。
以下EPSが増える要因とEPSが減少する要因についてお伝えします。
EPSが増える要因
EPSが増える要因は2つあります。
まず1つ目に利益が増えることです。利益が増えることによって、割られる数(利益)が大きくなるので答え(EPS)も必然的に大きくなります。先ほどの計算式を思い出してもらえれば分かりやすいと思います。EPS=当期純利益(簡単に利益)÷株の数で求められましたよね。
100÷4=25
200÷4=50
2つ目に発行済み株式数が減ることです。株式数が減ることによって割る数が小さくなるので答え(EPS)も必然的に大きくなります。
100÷4=25
100÷2=50
また、発行済み株式数が減る要因として、企業が自社株買いをして発行済み株式数を減らすこと、株式併合によって複数の株を一つにまとめて減らすことの2つが挙げられます。
それぞれ簡単に説明すると
自社株買いというのは企業が自身の株を買い戻すことで、
株式併合というのは複数の企業の株式を1つの株式にまとめることです。
自社株買いと株式併合について詳しく知りたいという方は自社株買いと株式併合についてまとめている記事がありますのでそちらをご覧ください。
EPSが減る要因
EPSが減る要因は2つあります。
まず1つ目が利益が減ることです。EPSは当期純利益を割って求めるので、割られる数(利益)が小さくなると必然的にEPSも減ります。
100÷2=50
50÷2=25 というように100が50に減ってしまえば答え(EPS)も減りますよね。
2つ目が株が増えることです。株が増えることで、割る数が大きくなってしまうので必然的にEPSも小さくなってしまいます。
100÷2=50
100÷4=25 というように株の数が増えてしまうと答え(EPS)も下がってしまいます。
また、このように株の数が増える場合というのは、株式分割と新株発行という2つの場合があります。
株式分割と新株発行についてはそれぞれの株用語解説でお伝えしていますが、ざっくり説明すると、
株式分割というのは株を複数に分けることで、新株発行というのは新しく株を発行することです。
どちらの要因によって株の数が増えたとしても株の増加はEPSの低下を招くため、投資家にとってはマイナスに働く要因となる可能性が高いです。
EPSをどう使うのか?
EPSはそれ単体で用いてもいいのですが、PERやPEGレシオといった指標を求める際に役立ちます。PERは株価が割安かどうかを確かめる指標として知っている方も多いかもしれませんが、PEGレシオについて知っている方はそんなに多くないのではないでしょうか?
ざっくりと2つの指標について説明すると
PERというのは1株あたりの株価が純利益の何倍の値段になっているかを示しています。
計算式)株価÷EPS=PER
PEGレシオというのは会社の今後の成長に対して株が割安か、割高かを判断する指標です。成長率を加味する点でPERとは異なります。
計算式)PER÷EPS成長率=PEGレシオ (EPS成長率というのはEPSが何%成長したのかという数値です。)
どちらも重要な指標なのですが、EPSを用いて計算されています。つまり間接的にEPSもとても重要な指標であるということを意味しています。
簡単に説明しましたが、詳しく知りたいという方はPERとPEGレシオについて解説した記事がありますのでそちらを参考にして見てください。
まとめ:EPSを理解して企業分析に役立てよう!
- EPSとは1株あたりどのくらいの利益が今年出たのかを表す
- EPSが増えれば株価が上がりやすく、EPSが減れば株価は下がりやすい
- 利益が増加や自社株買い、株式併合によってEPSが上がる
- 利益の減少や株式分割、新株発行によってEPSが下がる
- EPSは単体で見るというよりもPERやPEGレシオの要因として利用するのがいい
いかがだったでしょうか?いろいろな株用語があって大変だと思いますが、1日1単語ずつ覚えてみましょう。
記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。