増担保規制(増し担)とは何か?規制発生や解除の条件までまとめて解説

知っておきたい株用語

今回は増担保規制について解説します。

増担保規制は株価下落の要因となることもある非常に重要な株用語なのでこの機会に是非押さえてもらえればと思います。

増担保規制とは何か?

増担保規制ましたんぽきせいとは、株を信用取引で売買する場合の担保を増すことです。

通常信用取引で株を買う場合、担保として30%の担保金が必要です。

例えば100万円分の株を買いたい場合、30%分の約33万円の委託保証金(担保金)が必要になります。

しかし増担保規制がとられると貸借担保金率が30%から50%または70%(うち現金20%以上)に引き上げられてしまいます。

先ほどの例で言えば、33万円で済んでいた担保金が、100万円の50%、つまり50万円分必要になるわけです。

増担保規制になる条件って?

増担保規制は相場が過熱しすぎた場合にその過熱感を冷ますことを目的としてとられる措置です。

増担保規制には、日々公表銘柄に指定されている銘柄内から定められている条件を満たした銘柄が、規制実施されるように決まっています。

日々公表銘柄とは、信用取引による売買が過熱している銘柄に対して日本証券業協会が信用取引残高の公表を毎日行うように指定した銘柄のことです。

日々公表銘柄に指定されている銘柄から、次の4つの何かの基準に該当した銘柄が増担保規制となる可能性があります。

少し難解だと思うので、条件について興味のない方は飛ばして読んでみてください。ただし赤枠は抑えておきましょう。

  1. 残高基準
  2. 信用取引売買比率基準
  3. 売買回転率基準
  4. 特例基準

残高基準で増担保規制に

1、売り残高の対上場株式数比率が15%以上で、かつ、売り残高の対買い残高比率が70%以上である場合

2、買い残高の対上場株式数比率が30%以上で、かつ、3営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均線との乖離が30%以上(各営業日の株価が各営業日時点における25日移動平均株価を超過している場合に限る)である場合。

3、取引所が「信用取引残高が継続的に増加している銘柄」として公表した日の翌月の応当日以降において、売り残高の対上場株式数比率が15%以上または買い残高の対上場株式数比率が30%以上である場合。

信用取引売買比率基準で規制対象に

第一条件を満たした上で第二条件のいずれかを満たす場合に増担保規制となる可能性があります。

第一条件

3営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が30%以上である。

第二条件

1、3営業日連続して信用取引の新規売付け比率が20%以上である場合(各営業日の株価が各営業日時点における25日移動平均株価未満である場合に限る)

2、3営業日連続して信用取引の新規買付け比率が40%以上である場合(各営業日の株価が各営業日時点における25日移動平均株価を超過している場合に限る)

※1・2ともに各営業日の売買高が1000売買単位以上である場合に限る

売買回転率基準

第一条件を満たした上で第二条件の何かを満たした場合に増担保規制となる可能性があります。

第一条件

一営業日の株価と、当該営業日時点における25日移動平均株価との乖離が40%以上である。

第二条件

1、当該営業日の売買高が上場株式数以上であり、かつ、当該営業日の信用取引の新規買付け比率が30%以上である場合(当該営業日の株価が当該営業日時点における25日移動平均株価未満である場合に限る)

2、当該営業日の売買高が上場株式数以上であり、かつ、当該営業日の信用取引の新規買付比率が60%以上である場合(当該営業日の株価が当該営業日時点における25日移動平均株価を超過している場合に限る)

特例基準で条件なく増担保規制に!!

残高基準、信用取引売買比率基準、売買回転率基準の3つの何にも該当しない場合でも日本取引所グループが信用取引の利用状況や銘柄の特性を考慮し必要と判断した場合にも、特例として増担保規制となる場合もあります。

つまり特例基準があることで、条件に関係なく増担保規制が発生する場合があるということです。これは予測ができないので注意が必要ですね。

増担保規制解除の条件とは?

増担保規制となった銘柄は以下の3つの条件全てを満たした場合に規制解除されます。

  1. 残高基準
  2. 株価基準
  3. 特例基準

残高基準で規制解除に

  1. 5営業日連続で、売り残高の対上場株式数比率が12%未満である場合
  2. 5営業日連続で、買い残高の対上場株式数比率が24%未満である場合

株価基準で規制解除に

5営業日連続で、各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が15%未満である場合。

特例基準で解除が遅れることも!

残高基準、株価基準に全て該当している場合でも取引所が信用取引の利用状況や銘柄の特性を考慮し必要と判断した期間は措置を解除しないことができます。

つまり東証の裁量次第で解除か継続かが決まるということです。本当に厄介ですね。

増担保規制で株価はどうなる?

次に増担保規制の実施と解除後で株価はどのような影響を受けるのかを見ていきたいと思います。

増担保規制の直後の株価は?

増担保規制発生後の株価の動き

増担保規制が起こると株価が下がることが多いです。

これは増担保規制によって、信用取引に必要な資金が大きくなることで個人投資家の資金の流入が減ってしまったり、その資金の流入の減少を嫌がる機関や、大口の売りも入るからです。

上のチャートはITBOOK HD(1447)のものですが、増担保規制の発表から急激に株価が下がっていることが分かります。実際に日中の板を見ていても成り行きでかなりの売りが出ていました。

また増担保規制は条件と照らし合わせることでいつ頃から規制が入るかがある程度予測できるので、規制がかかる前から増担保規制を警戒した売りが出ることが多いです。

増担保規制解除後の株価は?

増担保規制解除後の株価の動き

増担保規制解除後は株価が上がりやすいです。もともと過熱気味だった銘柄ということもあり、株を買いたいという人が多いんですね。

上のチャートは増担保規制が解除されたオリコンスバイオファーマ(4588)のチャートです。

増担保規制が解除された後にしばらく下落が続きましたが、その後株価は上昇しています。増担保規制の解除によって個人投資家と、個人投資家の流入を見込んだ機関や大口の買いが入り活発化したことが株価上昇の要因として考えられます。

ただし、増担保規制の間に旬がすぎてしまった銘柄は増担保規制が解除された後も以前ほどの伸びが見られない可能性が高いので注意が必要です。

まとめ:増担保規制に注意しよう!

  1. 増担保規制ましたんぽきせいとは、株を信用取引で買う場合の担保を増すこと
  2. いつ頃から規制が入るかある程度予測できる
  3. 規制後は株価は下がりやすくなる
  4. 解除後は株価が上がりやすい

増担保規制について理解が深まったのではないでしょうか?増担保規制を押さえておかないと規制後に大損する可能性が高いです。急騰している銘柄を狙う際には増担保規制がかかっていないか、今後かかりそうにないかをしっかりと確認するようにしましょう。

記事を通して少しでもお役に立てたら嬉しいです。

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