今回は、株と並んで有名な投資対象である『債券』について解説します。
株と債券の使い分けを行うことでリスク管理をしやすくなったり、分散投資の幅が広がったりとメリットが大きいので是非この機会に大枠を掴んでもらえればと思います。
債券とは何か?
債券とは国や会社などの発行体が資金調達のために投資家からお金を借りる際に発行するチケットのようなもののことです。
この時、国や会社など債券を発行してお金を借りる側のことを債務者、投資家などのお金を貸す側を債権者と呼びますが、
債務者である国や会社は借りたお金をあらかじめ指定した期日までに返す義務があり、投資家は見返りとして元本に加えて一定の利息を受け取ることができます。
債券に関する4つの重要語句

債券について理解を深める上で、『償還期日』、『額面金額』、『利率』、『利回り』の4つの語句を押さえておくと理解がスムーズになるので軽く触れておきます。
償還期日
償還期日(償還日・償還期限・満期償還日)とは、国や会社などの債務者が借りたお金を債権者に対して返済しなければならない期日のことです。
償還期日が5年後と規定されていれば、債券の発行から5年後に元本が返済されるということになります。
額面金額
額面金額とはもともと会社が借りた金額のことです。
債券を保有している投資家は償還期日を迎えるとこの額面金額が元本として返済されます。
例えば、債券を購入して100万円を会社に貸した場合、この100万円が額面金額となります。
また、誰かが債券を購入して100万円を会社に貸した後に、この債券を自分が101万円で売ってもらった場合には、101万円ではなく、もともと会社に貸した金額である100万円が額面金額となります。
額面金額は日本では100円、、アメリカでは1000ドルがベースになることが多いです。
利率
利率とは額面金額に対して1年間で受け取る利子の割合のことです。
後ほど触れますが、債券は投資家間での売買が可能なので、債券を購入する金額というのは債券をいつ買うのかによって変わってきますが、『利率』は自分が買った債券の購入金額とは関係なく額面金額に対しての割合になるということです。
利回り
利回りとは購入金額に対して1年間で受け取ることができる利益の割合のことです。
額面金額に対する利子の割合、つまり利率とは違うということになります。
自分が購入した債券の金額に対してどのくらいの割合で利益が得られるのかということなんですね。
債券を他の投資家から購入した投資家にとっては利率ではなく、利回りが本当の利益を表しているので、投資家はこの『利回り』を重要視する傾向があります。
債券を購入する際には利率はもちろんですが、利回りを特に確認するようにしましょう!
債券の特徴
償還期日と利率があらかじめ設定されている
債券は発行時に償還期日と利率があらかじめ設定されています。
そして約束の返済期日が来れば元本が返ってくるので、株式よりも比較的安全に投資することができます。
ただし、債券を発行した国や会社が破綻すると、元本が返ってこない、利息がもらえないということになるので、債券を購入する際には破綻のリスクを見極める必要があります。
会社の倒産リスクに関しては経常利益、自己資本比率・流動比率、当座比率、手元流動性比率などの財務指標を見ることで簡単に確認することができます。
期間や発行体によってリスクと利率が違う
債券は償還期限や発行体によってリスクと利率が異なります。
一般的に期間が長ければ長いほどリスクが大きくなり、国よりも会社の方がリスクが大きいです。
またリスクが高い債券の方が利率が高く設定されているので、長い期間の債券や会社の債券が一般的に利率が高いことが多いです。
そのため、国や会社の信用リスクと利子のリターンが見合うかどうか判断するのが大切になってきます。
キャピタルゲイン(値上がり益)を得ることができる

先ほど軽く触れてしまいましたが、債券は投資家間での売買が可能で、債券を他の人に譲渡することができます。
その際に、需要と供給のバランスによって債券の価格が微妙に変化するため、債券を売ることによって値上がり益を得ることが可能です。
例えば、額面金額100万円、償還期限5年、利率5%、利回り5%で買った債券は5年間保有することで、25万円の利息を得ることが可能なわけですが、これを120万円で他の投資家に売ると、5万円分の利益は回収し損ねることになりますが、売却時に20万円の利益を得ることが可能になるわけです。
金利によって価格が変化する
債券は金利が上がると価格が下がり、金利が下がると価格が上がります。
金利が上がると相対的に過去の債券の利回りが低くなるので需要が減るため価格が下がります。
金利が下がると相対的に過去の債券の利回りが良くなるので需要が増えるため価格が上がります。
詳しい解説は投資塾さんの動画が分かりやすかったので、参考にしてみて下さい。
債券の種類
債券は償還期限や発行体の違いによって様々な種類に分けることができます。
償還期限の違いによる種類
1年未満:短期債
1〜5年程度:中期債
5〜10年程度:長期債
短期債・中期債・長期債の区別については覚えておくと便利です。
10年超え:超長期債
期限なし:永久債
永久債とは、元本の返済の義務がない代わりに、発行体が存続する限り永久的に利子を支払い続けるという債券のことです。株式と似ていますが、永久債はあくまで債券なので会社の負債の一部としてカウントされる点で株式と異なっています。
発行体の違いによる種類
公共債(公債)
国債:国(財務省)
地方債:地方公共団体
政府保証債:政府関係者や特殊法人
ちなみに政府保証債は政府が元利払いを保証しています。
財投債:財政融資資金の財源として国が発行
民間債(私債)
社債:株式会社
金融債:特定の銀行や金庫(金庫とは信用金庫などのこと)
債券はどこで買えるの?

債券は証券会社で購入することができます。
また、国債に限っては証券会社以外にも郵便局や銀行でも購入することが可能です。
どこの証券会社がお得といったことはあまりないので、債券を買う際にはすでに口座を開設している証券会社か、楽天証券、SBI証券といった大手ネット証券で購入をするといいと思います。
まとめ:債券の特徴を理解してうまく活用しよう!
- 債券とは発行体がお金を借りる際に発行するチケットのこと
- 期間や発行体によってリスクと利率が異なる
- 投資家間で売買することで値上がり益を得られる
- 金利によって価格が変化する
- 償還期限と発行体によって様々な種類に分かれる
- 証券会社で買うことができる
債券について大枠が掴めたのではないかと思います。
債券は一般的に株式よりも利回りが低い代わりにリスクが低いので、リスクを押さえたい場合や、分散投資をしたい場合に選択肢の1つとしてかなり有効です。
株以外の投資対象について知ることで、選択肢を広げることができるので、株の勉強と併せて仮想通貨や、コモディティについても情報を入れていけるといいですね。
記事を通して少しでもお役に立てたら幸いです。